【復活】思わず涙が出てしまった恋愛体験

純情恋愛板より「【復活】思わず涙が出てしまった恋愛体験」

恋愛とは時に楽しく、時につらいもの。
それでも人は恋に落ちていきます。
世の中には幾千の恋話があり、
それぞれが特徴あるエピソードになっています。
このスレは思わず涙が出てしまった恋愛体験を語るスレです。

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1 :名無しさんの初恋 :03/04/10 22:26 id:p2RTa7PG
あの感動をもう1度

過去スレ

 思わず涙が出てしまった恋愛体験
  http://love.2ch.net/pure/kako/1004/10046/1004620593.html
 思わず涙が出てしまった恋愛体験 part2
  http://love.2ch.net/pure/kako/1012/10120/1012059931.html
 思わず涙が出てしまった恋愛体験 part3
  http://love.2ch.net/pure/kako/1031/10312/1031239382.html


9 :名無しさんの初恋 :03/04/11 12:03 id:Zuwml2eI
元彼が留学する前日に、彼氏がいるのに元彼と寝た。
今まで恥ずかしくて言ったことがなかったけど、初めて自分から「ギュってして欲しい」
と言ったら、痛いくらいに思いきり抱きしめてくれてた。

かつて元彼と付き合っていたときに、なんでもっと大切にしなかったんだろう
元彼の私への気持ちをしっていながら、彼氏がいるのに私なにやってるんだろう。
涙が溢れ出して止まらなかった。

切ない初夏の出来事。


13 :名無しさんの初恋 :03/04/12 00:21 id:nfQDQDxW
私のお友達の現在進行形のお話です

彼にはとても自慢の彼女がいるの
優しくて、美人で、笑顔がとっても素敵な彼女
でも・・・その彼女が2日前に癌だという事が判明
まだ20代の若さで末期癌の一歩手前らしいんだけど
彼女はお薬を飲むことも手術する事も拒んでいるんだって
なぜならお腹に赤ちゃんがいるから・・・
この世に自分が生きた証がほしという彼女。
でも・・・彼女は赤ちゃんを産む事はもう出来ないらしい
なぜならこのまま何もしなかったら・・・数ヶ月の命
彼は参った・・・本当に参ったって
電話の向こうで力なく笑ってた
その声が泣き声に聞こえて私も一緒に泣いた


16 :名無しさんの初恋 :03/04/12 03:05 id:nfQDQDxW
本当に大好きな大好きな彼なのに・・・・・
こんなわがままな私を何度も許してくれ
信じてくれようとしてくれたそんな優しい彼なのに
私はまたしても、その彼に嘘をついてまでも自分の思いを貫き通してしまった

その結果・・・・・
彼を傷つけ、その先に別れが待ってることもわかっていた
今回ばかりは許してはもらえないことも知っていた。
今にして思えば、彼に嘘をついてまでも大切な人を失ってまでも
しなければならなかったことなんてなにもなかったな・・・って・・・
本当にバカな私

今の私には別れの時に言ってくれた彼の言葉が支えになってる
彼がいなくても頑張って歩んでいく・・・
いつも彼がいてくれるのがあたり前になってて
なんでも甘えて自分ではやろうとしなかった。

今更後悔しても始まらないけど
失ったものはあまりにも大きすぎて・・・・・
頑張ってるけどまだ時々泣いて立ち止まってしまう自分がいる
ごめんね。まだ約束守れてなくて・・・
まだちゃんと歩く事が出来なくて・・・
ちょっとずつ・・・亀さん歩きだけど頑張っていくから・・・
今までいろいろしてくれた事忘れない
こんな私を許してとは言えないけど、傷つけてごめんね
そしていっぱい愛してくれてありがとう♪


58 :名無しさんの初恋 :03/04/12 18:08 ID:84Fkk8Zt
10年近く片思いしてた人がイタリアへ留学した。
(私の気持ちは何度も告げていたのに、ずっとかわされてた)
一時帰国で会ったときその人はこう言った。
「イタリア来たら(一人暮らしの)部屋に泊めてあげるよ」
2/14手作りチョコを持って、私はその人の部屋を訪ねた。
その人はチョコを嬉しそうに食べてくれた。やっと恋愛が始まったと思った。
その人は一ヶ月近く一緒に暮らしていてハグ以上の行動はしてくれなかった。
日本に帰る前日、抱いて欲しいと私は言った。
でも、その人は「好きな人がいるんだ。(私の名)は妹みたいに思ってるよ」
私は泣いた。10年間ずっとハッキリした返事をしてくれなかったその人を責めた。
その人も泣いてた。なんで泣くのだろうと、慰めに抱き締められながら思った。

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(´Д⊂

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65 :サボテン :03/04/13 16:57 id:lpqW6s+G
彼女にお礼を言いたくて、これを書きます

オレは小さな頃から怯えて生きてきました
ちょっとしたことでの両親からの身体的、精神的暴力を受け毎日息を潜めるように過ごしてました
そのせいか小学生の高学年になった頃には人を信じることはできず。なんてのか感情のコントロールもうまくできず泣くこともしなくなって妙に冷めた子供だったと思います。
そんな感じで中学の頃にはホトンド学校にも行かず悪い仲間と遊びほうける毎日でした。表面上は仲間と言ってますが、やはり信じることの出来る仲間は出来ませんでした。
人の付き合いでは、どんな関係でも相手を信じることができなければ相手も自分を信じてくれる訳もなく、自分のやることのせいもあり、だんだん孤立してくようになってしまいました。
孤独には慣れてるし、面倒な人付き合いもなくなるし。他人なんて利用するだけのものでしかないと考えもあり。まあ自分にはこのほうが楽でよかったのですが
卒業する頃には家にも寄り付かずケンカ・薬物・恐喝やらする毎日でした。

続く


66 :サボテン :03/04/13 16:57 id:lpqW6s+G
それから2年程経った夏の夜
なにかで苛立ってたオレは駅周辺(田舎)で、この苛々を晴らせそうな相手を探してました。
薄暗い路地に入ったとき、若い女が酔っ払いに絡まれてました。
「こいつにしよう」と思ったオレは、その場に近寄っていきました。女は社会人風で20歳前後くらいに見えました。
「オッサンなにしてんだ?」と言うなり殴り。倒れたとこを蹴りまくってやろうと思ったとき
「やめて」と女が言う。
「なんでだ?自分は怖い目にあってた相手を助けるようなことを?変わった女だ」と思いオレは、ちょっと理解できませんでした。
まあ1発殴ってチョットすっきりしたせいもあり、そこでやめました。酔っ払いは逃げていきました。
下心もあったせいか「危険だし暇だから送っていく」とオレは言い。女は「ありがとう」と言いました。
ありがとうなんて言葉は今まで言われたこともなく、自分でもそんな言葉は恥ずかしくて言ったこともなかったオレはチョット戸惑った。
歩きながら話を聞くと仕事帰りに会社の友達を夕食を外で食べひとりアパートに帰る途中絡まれたこと。年は19歳ってこと。2駅先の所で働いてること。
しばらく歩くと「ありがとう。もう近くだからここでいいよ。ありがとう」と女は言った。
ここでまた「ありがとう」って言葉にオレは照れながらも、なんか嬉しかった。最初にあった下心も消えていた。
そして何事もなく、そこで別れた。この時まさか、また会うことになるなんて思ってもみなかった。

続く


67 :サボテン :03/04/13 16:58 id:lpqW6s+G
それから数日は「ありがとう」という、あの時の言葉に心地よさを感じながらボーっと過ごした。
なぜか、あの女にもう1度会いたいという気持ちまでも出てくる始末。オレの中でなにかが変わってしまった気がした。
それから間もなく仕事を見つけマジメにやってみようって思い頑張った。自分でもなにかを変えようと思った。

本当に偶然だった。駅の近くで、あの女を見つけた。いてもたってもいられず声を掛けてみた。
すると女はチョット驚いていたが笑顔で「この前はありがとう」と言った。
オレはなぜか嬉しくてしょうがなかった。この笑顔がまたオレを癒してくれた。
近くの公園でしばらく話をして恐る恐る電話番号を聞いた。

まだ続きます


68 :サボテン :03/04/13 16:58 id:lpqW6s+G
半年後には付き合ってた。彼女のアパートで同棲してた。
もう過去のオレはいなくなっていた。彼女がオレに心と人間らしさを教えてくれた。
楽しく幸せな毎日が続いた。ケンカも一杯したりもしたし
しかし彼女がなにかしてくれてもオレは未だに「ありがとう」って言葉を恥ずかしく言うことはできなかった。
オレは仕事を頑張り「いつか、こいつと一緒になれたら」と思ったりもした。

オレが19歳、彼女が21歳のとき妊娠したことを彼女はオレに伝えた。
オレは彼女に「結婚しよう。」とだけ言った。彼女は涙を流し無言で頷いてくれた。
生まれてくる子供はオレのような人間になって欲しくない。精一杯愛してやろうと誓った。
本当に幸せな日が続いた。・・・あの日までは

もう少し続きます


69 :サボテン :03/04/13 16:59 id:lpqW6s+G
その日オレは熱を出して寝込んでた。
彼女は夕食の買い物してくると言った。
彼女は「なにか食べたいものない?」って聞いてきたのでオレは「から揚げが食いたい」と言った。
「一緒に行こうか」とオレは言ったが彼女は「鶏肉買ってくるだけだからいいよ」と言った
そして彼女は買い物に出掛けていった。

近所のスーパーまで歩いて10分の距離
1時間経っても帰ってこない。心配になりかけてた時、電話が鳴った。
彼女だろう「遅いぞ」って言おうと思い電話を取った
が・・・それは彼女からの電話じゃなかった。
○○病院からの電話だった。
買い物の帰りに横断歩道を歩いてたとこ事故にあったという内容だった。
オレは体中が震え声も出せずにいた。
「まさか・・大丈夫だよ。もうすぐ子供も生まれて親子3人幸せに暮らせるはずだ。」と思いながら、着替えもせず病院へ向かった。

次で終わります。長文すいません。


70 :サボテン :03/04/13 16:59 id:lpqW6s+G
今オレは22歳になった。
彼女の年を越えてしまった。
彼女に「ありがとう」と言いたかった。
オレに人間らしさを教えてくれてありがとう。
僅かな時間だったけど幸せをありがとうと。

なんで、あのとき「お前が作るものなら、なんでもいいから」って言わなかったんだろう。
なんで、あのとき一緒に買い物に行かなかったんだろう。
オレは今でも先に進めずにいる。あれ以来オレの時間は止まってる。

乱筆乱文、失礼しました


81 :名無しさんの初恋 :03/04/14 21:52 ID:9r5UJk2Y
ふと思い出したけど、俺、死んでしまった子から絵葉書もらったことがある。
中学のときの隣のクラスの女の子で、病気でほとんど学校にこないまま死んでしまった。
うちの学校は生徒数が少なかったので、体育のときや課外授業のバードウォッチングとか
2クラス合同でやる科目がいくつかあって、まだ学校にくることができた頃に何度か一緒に
なるくらいだった。
一度だけ喋ったことがある。寝坊して完全に遅刻だしと思って、いつものバス停に歩いて
行ったらその子が停留所のベンチに座ってた。
田舎だから時間ずれるとバスがぜんぜんこなくって、しばらく黙ってたけど暇だしなんとなく話しかけたんだ。
「お前も寝坊したの?」
「・・・病院、よってきたから」
俺はそのときになって、なんだか知らないけど病弱でほとんど学校にきてない子がいるって
話を思い出し、それがこの子だと気づいた。
その子はそれから1年くらいで死んでしまったので、今思えば本当に無神経なんだけど
俺は「へえ、どっか悪いの?」と訊いてしまった。彼女は少し笑って「うん、ちょっとね」って言ってた。

彼女は俺が中学にあがるまで新聞配達していたのを知っていて(彼女の家にも配達していた
らしい)、「前から思ってたけど、ほんとえらいよね」ってやけに褒めてくれたもんだった。
じつはゲームソフト欲しさだったことは言わなかった。
バスがきて、学校につくまでたわいもない話をした。天気いいのにかったるいよなーとか。
彼女と話したのはそれが最初で最後だった。
中学卒業したあとで絵葉書が届いた。夕焼け空のきれいな写真のハガキだった。
最初は誰かわからなかったけど、しばらく考えて思い出した。そのちょっと前に葬式があったときいていた子だった。
「朝焼けの写真だったらよかったのに。でも、夕焼けもきれいでしょ?」と書いてあった。その下に
スペースがあまっていたから、もしかしたらほかにも書こうとしてやめてしまった書きかけだったのかもしれない。
書きかけのまま大切そうにしまっておいた絵葉書を、家族の人がみつけて出してくれたんだそうだ。
新聞配達なんて眠いし重いし手が真っ黒になるけど朝焼けが気持ちいいとかかっこつけて話したのを思い出した。
そのハガキ、たぶんまだどっかにあると思う。

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146 :のぞみ :03/05/03 23:37 id:cKL4Gqzd
初めて彼と出会った時、私はまだ中学3年生だった。中学時代の私は同じ年代によく居た「ヤンキー」
の様なのとは違った意味でのヤンチャな女の子だった。喧嘩じゃなくてカツアゲ、暴走族じゃなくて
クラブ、シンナーじゃなくてマリファナ、毎晩オシャレな大学生と遊ぶ事ばかり考えて、街をフラフラ
していた。彼との出会いはナンパだった。彼は18歳だった。私はいつもの様に、17歳だと嘘をついた。
彼は当時でいうチーマーだった。ドイツ人とのハーフで、不思議な目の色をした彼に、私は一目で恋に
おちた。付き合う様になるのに時間はかからなかった。1ヶ月ぐらいして「本当は中学生」と話したら、
彼が「びっくりしたけど・・・ま、いっか。」と言って、二人の間に隠し事は無くなった。
彼のそれまでの人生は、聞くのも辛くなる様な経歴だった。2歳で両親が離婚し、その時どちらにも
「この子はいらない」と言われて、親戚に引き取られたが、凄まじい虐待をうけ・・・というような
話だった。そんな経歴のせいか、いつもいっぱいの友達に囲まれてるのに、どこか孤独というか、
退廃的な雰囲気をもった人だった。
彼や私の友達とワイワイやりながら、半年ほど楽しい日々は続いた。
ある夏の夜。その日は彼とは会わず、いつもの様に遊んで家ってくつろいでいた。
夜中1時くらいに警察から電話が架かってきた。彼の事故を知らせる電話だったのだ。
警察の話によると、彼は足を複雑骨折しているものの、意識ははっきりしている、あなたの連絡先
しか言わないので電話した、とのことだった。


149 :のぞみ :03/05/04 00:30 id:R2b9I5CT
とりあえず、すぐ病院にいった。
まだ足の手術中でもうすこしかかるし、終わっても麻酔で明日の昼までは
目が覚めないから、と、帰るように言われた。骨折だけと聞かされていたので、
私はその指示にしたがって帰った。

次の日病院に行くと、彼はもう目を覚ましていて、私の姿を見て「おまえ、学校
行けよ」と言った。私は泣き笑い。
複雑骨折なので、リハビリも含めて1年間の入院生活が始まった。

最初の頃こそ、毎日の様に見舞いに来てくれていた友達も、だんだんと足が遠のき
半年も経つと本当に誰も来なくなってしまった。「みんな今まで俺の無茶な行動に
無理やり付き合ってくれてたんや。とりあえず、今はおまえが居てくれたらもう
ええわ」彼はそう言った。私も彼の遊びや行動に、度が過ぎるを通り越して、
恐怖すら感じる時があったので、今回の事故がこの人にとって、いい薬になれば・・・
と思っていた。


150 :のぞみ :03/05/04 21:17 id:eahiYEO8
彼の入院も9ヶ月が過ぎたある日、いつもの様に学校をサボって彼の病室に行ったら、知らない女子高生がいた。
前の彼女だった。私と彼はその事で大喧嘩になった。今思うとつまらない事だが、
その時私はまだ14歳。彼が1年も入院する事、ましてや彼の身内は誰一人来ず、私一人で
イライラする彼を励ましたり宥めたりする生活、普通の恋人同士の付き合いができない事に
限界を感じていた。14歳の私には、重すぎた。
結局、そのまま喧嘩別れになってしまった。

彼のその後が心配じゃないわけではなかったのだが、別れてから暫らく、お互いに
連絡を取る事は無かった。高校受験もあって、私はとても忙しくなり、彼の友達
だった人達とも、会う事は無かった。


151 :のぞみ :03/05/04 21:52 id:eahiYEO8
別れて1年が経ったある日、突然彼から電話が架かってきた。
とても元気そうで安心しながら、近況を報告しあった。「俺なー・・・、あー
とりあえず、今から車で迎えに行くし、久しぶりに会おうや。」と彼が言った。
彼が迎えにきて、私は車に乗った。彼は全く変わっておらず、私も高校生に
なっただけで、前と変わってなかった。暫らく楽しい会話が続いていたのだが
突然彼が「おまえ、何か気付かん?」と言って、足をブラブラして見せた。
「俺の足、結局あかんかって、切断してん。これは義足。」

私と別れてから、リハビリも終わり、とりあえず無事退院したのだが、
1ヶ月程してまた折れてしまい、もう骨がくっつかなくなったらしい。
最初の骨折があまりにもめちゃくちゃだったので、結局うまくいかず、
もう切断するしかなかったらしい。そうやって、彼は片足を失くしていた。

私と彼はまた付き合い始めた。




152 :のぞみ :03/05/04 23:14 id:eahiYEO8
しばらくは前の様な楽しい日々が続いたのだが、そのうち彼は喧嘩になると、私に暴力を
振るう様になった。今まであったものが突然なくなり、思う通りに体が動かなくなって
自暴自棄になり、私がその捌け口になっていたのだ。
背も高く顔も美しかった彼は、事故に遭うまではモデルのバイトもするぐらいの人で、
いわば、体がウリみたいなものだった。それが、片足を失くして一変したのだ。
今までの様な遊びが出来なくなり、友達もどんどん離れていってしまった。
女の子も、最初は近づいてきても、義足と聞くと引いていく。もちろんモデルのバイトも
できるはずもない・・・・。
彼の自暴自棄は私への暴力とともにどんどんエスカレートしてき、しまいには
本当に何もしなくなってしまった。子供の時に彼を引き取った親戚がとても
金持ちで、お金だけは援助してくれていたので、生活してはいけるけど、
仕事もせず昼間から酒をのんでフラフラしている彼を見ていて、絶望的な
気持ちだった。


153 :のぞみ :03/05/04 23:58 id:eahiYEO8
ささいな事でいつもの様に喧嘩になったある日、私は彼に扇風機を投げつけられ、
頭を2針縫う怪我をした。私はキレた。「私はあんたの足が無くなったって聞いた時、
ショックやった。だけど、足の一本ぐらい愛情を左右する原因にはならんって思った。
あんたに同情なんかしてなかった。私があんたの足の代わりになってあげるなんて
そんな事思わんかった。私は、絶対に私があんたを自分の力で立ち直らせてやるって、
そのぐらいの根性で付き合ってたつもりやった。でもあんたは私に甘えるばっかりやん。
いつまでそうしてるつもり?なんとかなったらどうなん?もう限界や。」
私は今まで言えなかった事を、全部ぶちまけた。また殴られると思ったが、彼は静かに
言った。「俺と結婚してくれ。俺は切羽詰らんと何にもできひん。守るものができたら
俺は変われると思う。一生ずっと俺を見ててくれ。おまえを愛してるから結婚して下さい」
私が17歳で彼が21歳の時の事だった。
私は学校を辞め、親の猛反対を押し切って彼と結婚した。
幸いにも彼の仕事がすんなり決まり、私もバイトをしながら、嘘みたいにおだやかな日々を
送っていた。1年後には子供も産まれ、3人幸せな生活が続いていた。


155 :のぞみ :03/05/05 21:58 id:NmBboXx8
ある日、いつもの様に晩ご飯を食べていたら、彼が突然「おまえ、来週、誕生日やろー」と、
らしくない事を言い出した。今まで彼の方から誕生日や記念日の話なんか出してきた事が
無かったので、びっくりした。私は「どうしたん?今までそんなん言うた事ないくせにー。気持ち
悪いわー。」と、笑いながら返した。「いやー・・・。別に何にも無いけど、ただ言うてみた
だけ。」と彼も笑っていた。その日、彼はご飯を食べ終えると「疲れたし寝るわ。おやすみ」と言って、
私と娘に、いつものおやすみのキスをして、寝室に入って行った。私もその日は仕事で疲れていて、
娘と一緒に、居間でざこ寝みたいにして朝まで熟睡してしまった。
朝、目が覚めて、朝ごはんを作りながら娘に「パパ起こしてきて」と頼んだ。毎朝彼を起こすのが
4歳になった娘の日課で、その日も彼女は寝室へ走って行った。
しばらくして、「パパー!パパー!」という娘の叫び声。「昨日あんなに早く寝たのに、まだ
起きひんのかな」と思いながら寝室に行くと、娘が彼の上に乗って叫んでいた。
「パパが起きひん。冷たい。」
びっくりして彼に触れた。素人でも、分かる様な体温。パニックになった。
とにかく彼を起こそうと、狂った様に叫びながら体を揺さぶった事だけは、今でもはっきり
覚えている。


156 :のぞみ :03/05/05 23:38 id:NmBboXx8
彼はそのまま永遠に目を覚ますことは無かった。おやすみのキスが最後だった。
あっけなかった。
あっけなすぎて涙も出なかった。私は放心状態で、周りが葬式の準備などに、忙しく
バタバタするを、ただボーっと見ていた。
6年前の事故の後遺症による死、と医者に聞かされた。たまに何年も経ってから
亡くなる人がいるらしい。頭が痛いと言ってなかったか、あくびが増えたりしてなかったか、
大きなイビキを掻いてなかったか・・・・医者に色んなことを聞かれたが、私は何を言われても
ボーっとしながら「はい」としか答えなかった。
娘は、人の死が分かるのか分からないのか、「パパ、ずっと寝てる」と、私に何度も繰り返し
教えるように言った。
お通夜とお葬式には、彼を引き取った親戚のおじさんが一人で来た。彼の身内はその人だけしか
来なかった。おじさんは、昔彼にした仕打ちを悔やんでいるのか、彼の体を揺すって、「すまん
かった」と泣きながら謝っていた。
私はまだ泣く事が出来なかった。


157 :のぞみ :03/05/06 00:07 id:viAW/fcW
お葬式の次の日、私の代わりに部屋を元通りに片付けてくれていた友達が、泣きながら
「これ、電気スタンドの下から出てきた。何かわからんかったから、中身
勝手に見た。ごめん。」と言って、小さな紙袋を差し出した。
写真と指輪とメモのような手紙が入っていた。
写真には、いつ写したのか私の寝顔、裏に、日付と小さく「マヌケ」と
書かれていた。メモには「この指輪は誕生日プレゼントではありません。
かなり遅れたけど結婚指輪です。誕生日プレゼントには3人で旅行でも
行こうや。ほんじゃおやすみ。誕生日おめでとう」。
私は声を上げて泣いた。彼が死んで、初めて流す涙だった。

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ハンカチなくしては読めない名スレ。